HEAVY GAUGE 一年間、長かったような気がしていた。 何度も振り返る時があって、それでもなお、その過去があったから前に進めるような気がして。 少なくとも、俺はそうだった。 「誰が言い出した? どうしてそうなった?」 そんな答えは要らない。 ひとりになった今でも尋ねられる事が少なくないこの質問の答えは「笑顔」の沈黙だった。 最初から言っておく事もあったし、答える気がなかった時はそれで済ませていた。 真実を知りたいのは、俺も同じ。 いつから不協和音が鳴り出して、いつから5つの歯車が合わなくなったのかなんて、俺の方こそ知りたいよ。 まるで自分に過去を忘れさせる為かのように、一番いろんな事をして動き回る彼。 自分自身の世界観をしっかりと打ち出して、ゆっくりと、でも着実に歩く彼。 いろんなメディアに出ながらも、いつもその大きな笑顔で自分の存在場所を判らせる彼。 最初に動き出して、誰よりも熱いチカラを外に放ち続けて、立ち止まりながらも走り続けている彼。 彼らを見てきて、俺は何をしているかさえ自分自身判らなくもなったけれど。 でも、やっぱりみんなが好きだって判る。 やっぱりみんなを見ると、どこかホッとして、安心できる。 みんなをいつも感じる事が出来るんだって、ちゃんと判るから。 あのまま傍に居続けて、歩き出せなくなった時の事を考えてごらんよ。 きっと俺は、立ち直れない。 俺より先に、誰よりタフに見えて、誰より弱いあの彼がきっと歩けなくなる。 そうしたら、俺と彼で作った物がますます駄目になる。 彼が居ないと、俺は生きていけないよ? 「自己満足…じゃん」 吐き出した煙と言葉に、わずかに苦笑する。きっとそう、俺は彼が居なければ生きていけない。 きっとどころじゃなくて、絶対駄目。歩けなくなるとかじゃなくて、俺がきっと壊れるんだ。 抱きしめて 閉じ込めて 離さないで お願いだから、傍にいて そんなすがるような真似が出来たら、少しは楽だったかもしれないけれど。 でも俺は俺で、歩いていくって決めた。 ひとりでちゃんと、前を向いてみんなと同じ輝きを手に入れるって決めたから。 “振り返らない”なんて出来るはずもない。 弱くて脆い俺には、出来ない芸当。 振り返って、ちゃんと見据えて。何が欲しくて、何を求めるのか。 俺は何を手に入れたいのか判ったら、それからは振り返らない。 『立ち止まって振り返ってもいいんじゃねぇ?』 …そうだね。 『それで、何かちゃんと見つけられるなら』 ……そうだね。 いつだって、いつでも、そうだろ? そうやってきて、ちゃんと進めているお前がいる。 そうやってきて、ちゃんと進んでいるみんながいる。 きっと俺も、一緒に歩いていける。 傍に居なくても 一人で居ても きっと、大丈夫。 |